失業保険の受給資格:自己都合退職の会社都合化

失業保険の受給資格:自己都合退職の会社都合化
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※当記事は避けられない事情により退職された、本当に困っている方に向けて作成しました。
当記事の内容を自利のために、悪用しないようにお願いいたします。
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前回は自己都合退職でも「特定理由離職者」となれば、3ヶ月の給付期間が外されるなど失業保険で優遇されることについてお伝えしました。
それでも、会社都合退職での特定受給資格者と比較すると、給付期間の優遇に差がありますよね…
また、会社側は会社都合で退職させると労務系の補助金のカットや社会的信頼を落とすなど、いろいろデメリットがあるため、なかなか会社都合での退職にしたがりません。
離職票に一身上の都合の類が会社から記載されても、納得できない方も相当数いらっしゃいます。
でも安心してください!
「残業が多すぎてこのままでは人生が破たんする」
「上司のパワハラがきつくてもう耐えられない」
こういった理由で自己都合退職された方は、後で会社都合に後で変えられる場合があります

□失業保険の受給資格:会社都合退職を掘り下げる

会社都合退職による受給資格:特定受給資格者と認定されるには、会社の倒産や会社からの解雇(懲戒解雇を除く)の条件によって離職された方が対象となるとお伝えしました。
その範囲も細かく定義さていますので、まずはこちらをご紹介します。

■【特定受給資格者の範囲】

○倒産等により退職された方の範囲
1.会社の倒産で退職された方
※倒産三法(破産法、民事再生法、会社更生法)手続きの申し立てや手形不渡りによる手形取引の停止等
2.会社の雇用が著しく変動したため退職された方
 2-1.1ヶ月のうちに30人以上の人が退職を予定している等
 2-2.会社の雇用保険被保険者の3分の1超が退職
3.所属している事業所が廃止されたため退職された方
※事業活動を停止した後の再開の見込みのない場合を含む
4.所属している事業所が移転することで、通勤が困難となったため退職された方
○解雇等により退職された方
1.解雇により退職された方
※懲戒解雇等を除く
2.締結した労働契約締結に明示された労働条件と事実が大幅に違うため退職された方
3.賃金額の3分の1を超える額が、支払期日までに支払われなかったため退職された方
≪支払期日まで不払いだった期間の程度≫
3-1.連続して2ヶ月以上
3-2.退職の直前6ヶ月の間に通算して3ヶ月あった
4.賃金が、いままで自分にに支払われていた額の85%未満に減額されたため
または減額されることとなったため退職された方
※ただし、自身が減額の事実について予め知ることができなかった場合に限る
5.会社が時間外労働(残業)や業務に対して必要な措置をしなかったため退職された方
≪時間外労働の程度≫
5-1.退職の直前6ヶ月間のうちに3ヶ月連続して45時間
5-2.退職の直前6ヶ月間のうちに1ヶ月100時間
5-3.退職の直前6ヶ月間のうちに2~6ヶ月の平均月80時間超
≪業務への不措置の程度≫
5-4.会社が危険もしくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず
防止するために必要な措置を行わなかった
6.会社が自分の職種の転換等について、生活を継続するために
必要な配慮を行わなかったため退職された方
7.期間の定められた労働契約の更新で、3年以上引き続き雇用されていたのに更新されず退職された方
8.期間の定められた労働契約を締結し、更新されることが明示されていたのに
契約が更新されなかったため退職された方(上記7に該当する者を除く。)
9.上司や同僚等に、パワハラやセクハラもしくはいじめを受けたため退職された方
10.会社から直接または間接的に退職するよう勧奨を受け退職された方
※基からある「早期退職優遇制度」等に自分で応募して退職した場合は除く
11.事業所で会社の責任による休業が3ヶ月以上続いたことで退職された方
12.事業所が法令に従わず違法な業務などを行っていたため退職された方
一口に倒産・解雇といっても色々とありますね。
これらに該当する方は「会社都合退職」となる可能性が十分にあります。

■だけどやっぱり離職票-2

失業保険の受給資格(特定理由離職者編)でお伝えしたとおり、退職すると離職票―1と離職票―2をもらいます。
それを持ってハローワークで失業保険の手続きをします。
この離職票-2に元の会社が「会社都合」と記入してくれればいいのですが、そういった会社はあまりいません。※解雇の場合は特にそうです。
よっぽど倒産などで目に見えて明らかでない限り、書きたがらない会社が大多数であると、皆さんも想像しやすいかと思います。
理由は上述しましたが、ではどうすればよいか。
ここが自己都合退職の会社都合化は特定理由離職者に比べて、難易度を上げてしまう原因となっています。

□自己都合退職の会社都合化

■ここでもやっぱり「正当な理由」が必要

前回の「特定理由離職者」でも伝えましたが、自己都合退職から一般離職者以外の受給資格へ変更するには、「正当な理由」というものが必要となります。
また、その「正当な理由」を証明する何らかの証拠が必要になります。
「特定理由離職者」では、そのケースによってことなりますが、私のような「心身の障害」の場合は病院の診断書を提出すれば大丈夫でした。
自分の状態がそうであると証明できればよかったんですね。
そして自己都合退職の会社都合化にも「会社都合に相当する正当な理由」が必要となります。
この場合は、自分の状態の説明に加え、会社の待遇などの状況を証明せねばなりません。
まずは、離職票が手元に届いたらば離職理由を確認し、自分の理由と違う(または、事実と違う)違う場合は特定理由離職者の時と同様に、はっきりとハローワークの職員さんに「違うんです」と伝えましょう。
※念のため離職票の自分が記入する部分は空白で持っていきましょう。
そして、それを特定受給資格者として認めてもらうには、「会社都合に相当する正当な理由」を証明しなければなりません。
ここが「特定理由離職者」の場合とは格段に違います。

■論より証拠

口頭でいくら会社都合にあたると主張しても、それを明示できる証拠がなければハローワークも動きようがありません。
しかし、その証明するための証拠はいったん会社の外にでてしまうと集めにくくなることは必至です。
過度の残業を主張する場合は、タイムカードのコピー等が必要でしょう。
サービス残業などはタイムカードにすら記録されません。
その場合は自分の手帳などに正確な勤務時間を記録する必要さえあります。
それも、1週間等の短期間ではなくやはり6ヶ月、欲を言えば1年程度必要かもしれません。(継続性を証明するため)
パワハラやセクハラ、嫌がらせなどを主張するならば、何月何日、何時何分、どこのだれに、どのような内容のことをされたか記録をつけなければなりません。
また、そういった記録などもない場合は元同僚などに証言してもらうなど、さらに難易度の高い証拠も必要になるかもしれません。
それだけ、自己都合退職の会社都合化は敷居が高いのです。
逆に証拠が十分にあると比較的スムーズに認められることもあります。
会社が会社の都合に合わない事実を隠ぺいする可能性もあります。
悪質な会社(いわゆるブラック企業)に自分が勤めている等、厳しい環境におかれている方は特に準備が必要になります。
ですが、準備さえ整えば手厚い手当支給を受けられるのも事実です。
必要な証拠などは、またケースによって違いますので、ぜひハローワークに問い合わせたうえで、証拠集めを行うようお願いいたします。

■元の勤め先に問い合わせも・・・

自己都合退職の会社都合化には事実の確認が必要です。
そのため、ハローワークから元の勤め先に問い合わせをする可能性もあります。
ハローワークはあくまで「中立」の立場ですので
会社と労働者のどちらに偏ることはできません。
双方の事実を確認し、適正な判断をせねばなりません。
やはり、スムーズに会社都合と認めてもらうには証拠集めを計画的に行うことが必要です。
また、気持ちの面でも強くかつ冷静に保ち、事を進めなければいけません。
敷居は高いですが、会社都合相当と認められれば手厚い失業給付によって、落ち着いて就活ができますからね(*^_^*)
可能性があるならば、ぜひがんばってください。
さて、今回の記事は自己都合退職の会社都合化についてお伝えしました。
後半は少し物々しい表現になってしまいましたが、下手に会社都合化を行うと逆に訴えられる可能性もあるため、特に強調して書かせていただきました。
次回は失業保険の受給資格(就職困難者編)にお伝えできればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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